諏訪芸術祭PRE EXHIBITION|長野県下諏訪町の歴史ある古民家で現代アートと白隠が響き合う ― 賃貸テナント募集中
2025年8月23日・24日、下諏訪町で「諏訪芸術祭PRE EXHIBITION」が開催されました。
テーマは「見えないものの力 vol.3 江戸と現代のアヴァンギャルド」。
江戸期から続く美意識と現代アートの先鋭的な表現をつなぎ合わせる挑戦的な試みです。
舞台のひとつとなったのは、下諏訪町富部区五官町に佇む歴史ある古民家。
かつて高島藩の鷹匠・岡村家が暮らした由緒ある建物であり、江戸中期から後期にかけて建てられたと推定されています。
この空間が現代アートのインスタレーションやパフォーマンスの場となり、訪れた人々を異次元へと誘いました。
新聞各紙でも大きく取り上げられ、地域全体がアートで彩られた二日間。
古民家という歴史の器に現代の感性が注ぎ込まれることで、下諏訪の町はまさに「見えない力」を可視化する場となりました。
古民家とアートが共鳴する瞬間
会場を訪れると、まず目に飛び込んでくるのは重厚な屋根瓦と木格子の外観です。
その庭にはガラス作品や長大な紙のキャンバスが置かれ、伝統的な景観と現代作品が同居していました。
母屋の内部に足を踏み入れると、畳をフローリングに改修した床に大きな写真作品が横たわり、
障子の光を背景に陶芸や絵画が展示されていました。暗がりを活かした映像インスタレーションは、
江戸時代の生活の残り香と現代の表現を交錯させ、観る者の感覚を刺激します。
さらに庭先ではトンボが舞い、自然とアートとが一体となる情景も広がっていました。
「古民家だからこそ感じられる空気」――それが作品そのものの一部になっていたのです。
心に残ったガラスの作品
特に印象的だったのは、庭先に掲げられた透明なガラス板の作品でした。
赤い文字で「言葉などではなく」「作品などではなく」「美術などではなく」「人間などではなく」と続き、
最後には「このガラスの向こうに見える《空》《緑》《音》《光》」という言葉が刻まれていました。
その文字を追いながらガラスの向こうを眺めると、確かにそこには空が広がり、庭の緑が揺れ、風の音や光が差し込んでいました。
まるで「人がつくり出したものではなく、もっと根源的な自然や存在そのものに目を向けてほしい」と語りかけられているようでした。
この作品を前に立ち止まることで、普段の生活では意識しない「音」や「光」の存在までもが鮮明に感じられました。
アートをきっかけに、目の前にある現実の豊かさに気づかされる時間となったのです。
古民家に響き合う写真・陶器・ドローイングの世界
会場にはほかにも心に残る作品が数多く展示されていました。
例えば、木の質感や森の光を写し取った大判の写真作品。床いっぱいに広がる森の映像は、まるでその場に立っているかのような没入感を与えてくれました。自然の生命力が、古民家の静けさと不思議な調和を見せていたのが印象的です。
また、白い陶器のような立体作品は、雲や水の流れを思わせる柔らかな形をしていました。光の当たり方によって影が揺らぎ、見る角度ごとに新しい表情が生まれるのが面白く、「静」の中に潜む「動」を感じさせられました。
壁に掲げられた綿棒筆(めんそうふで)による大作は、繊細でありながら力強い線が重なり合い、幻想的な世界を描き出していました。
一筆一筆に集中力と緊張感が込められており、近くで見るとその迫力に圧倒されます。綿棒筆でここまで表現できるのかと驚かされ、人の想像力と表現力の奥深さを強く感じさせられました。
白隠の画と琴の響き
今回の芸術祭では、白隠禅師の書画も特別展示されました。
世界屈指の評価を受ける白隠の画が約20点並び、達磨や禅僧の姿、力強い墨跡が会場に静かな迫力を与えていました。
さらに室内では琴の演奏が行われ、白隠の掛け軸に囲まれて響く音色は、まるで時を超えて過去と現在を結ぶかのよう。
観客はその音に耳を澄ませるうち、日常から切り離されたような凛とした静けさを体感していたように思います。
庭先で行われた《混沌の首》のパフォーマンスも、古民家を背景にすることで迫力が増し、自然や建物と融合した独特の舞台となりました。
その様子は観客に強い印象を与え、「ここでしか見られない特別な体験だった」と心に刻まれたのではないでしょうか。
白隠と「見えないものの力」
白隠は「見えないものを見る力」を大切にし、その思想を墨跡や画に託しました。
達磨図や円相は、形そのものではなく、その背後にある精神や不可視の世界を示そうとしているのです。
たとえば達磨の眼差しは、ただ人物を描いたものではなく、人の心の奥に潜む力を映し出すようでもあります。
また、白隠の円相は単なる丸ではなく、「無限」「空」「心の自由」といった目には見えない境地を表しています。
今回の展示では、こうした白隠の精神と現代アーティストの探求が呼応し合い、観客が「見えないものを感じる」体験を得られる場となりました。
それは江戸から現代へと続く精神性が、この下諏訪の古民家という舞台で可視化された瞬間でもありました。
歴史を受け継ぎ、未来を育む空間
今回の芸術祭で会場となった古民家は、現在、株式会社サンケイが古民家テナントとして賃貸募集している物件でもあります。
敷地:832.77㎡(約252坪)、さらに駐車場敷地268.14㎡(約7台分)
建物構成:母屋(135.86㎡)+2つの蔵(86.60㎡・33.41㎡)
設備:太い梁や木製建具など歴史的要素を残しつつ、水回り・断熱は現代仕様に改修
庭と眺望:池や中庭があり、庭先からは諏訪湖を望むことができます
立地:諏訪大社下社から約800m、下諏訪駅から約1.1km
由緒ある岡村家の旧宅として、お殿様がお忍びで訪れた逸話や、天竜道人が匿われた歴史も残る特別な場所です。
実際に岡村家の裃(かみしも)や陣笠(じんがさ)も発見され、一部がショーケースで展示されています。
※下記の資料をクリックすると物件の詳細をご覧いただけます。物件の詳しい情報や写真、室内を360度カメラで撮影した映像も、当社ホームページでご覧いただけます。
興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
芸術祭の舞台として人々を惹きつけたのは、単なる建物としての価値を超え、
「歴史と文化を継承し、新しい表現を受け入れる場」としてのポテンシャルがあったからだと思います。
芸術祭を通して見えたもの
諏訪芸術祭は、地域の歴史資源を活かしながら現代アートの発信地となる可能性を示しました。
古民家が単なる保存対象ではなく、現代の暮らしや表現の舞台として生まれ変わることで、地域に新しい価値を生み出しています。
二地域居住や移住を考える人にとっても、このような場は大きな魅力となるはずです。
自然と歴史、そして文化の交差点に暮らすことで、日常が豊かに広がると考えるからです。
おわりに
諏訪の古民家は、ただの建物ではなく「文化を紡ぐ舞台」としての力を秘めています。
今回の芸術祭は、そのことを多くの人に実感させる機会となりました。
株式会社サンケイがご紹介するこの古民家もまた、歴史を受け継ぎつつ新しい価値を創造する拠点となり得ます。
興味のある方はぜひ一度、現地をご覧ください。
ここからまた、未来へ続く新しい物語が紡がれていくことでしょう。
そして何より、この古民家を舞台に素晴らしい表現を届けてくださったアーティストの方々、足を運んでくださった観客の皆さまに、心から感謝を申し上げます。
皆さんの存在があったからこそ、この歴史ある空間は一層輝き、特別な二日間となりました。
この記事を書いたスタッフ
maa|営業
主に賃貸業務・事務を担当しております。お客様1人ひとりに対し懇切丁寧な対応を心がけると共に、日々向上心をもって業務に取り組むことを大切にしています。私は県内の出身ですが、就職を機に諏訪に住み始め、今年で4年目になりました。諏訪地域の美しい自然や風景が好きで、休日はよく写真を撮りに出かけています。おすすめスポットや自然に触れて感じたこと、日常の出来事や物件の最新情報まで幅広くブログに綴っていきますので是非ご覧ください。